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認知症がおこす不穏症状とは

認知症の方の症状の一つに不穏症状があります、不穏状態はそもそもどんな状態なのかを知って介護の知識の1つに取り入れてください。

目次

不穏状態て何でしょう?

認知症の進行とともに問題となりやすい症状が不穏です。
「不穏状態」とは、一般的には不安定で危険な状態を指します。
不穏は、本人の感情コントロールが難しくなり、家族に感情的で攻撃的な言動になることや、徘徊や妄想が起きるなど、さまざまな形で現れます。
家族ができる対応には、体の調子を整えるために睡眠サイクルを整える工夫をしたり、本人が不安に感じる出来事に配慮したりすることがあります。
不穏症状に対して、理解と共感を持ちながら、安心できる環境を整えることが大切です。

認知症が引き起こす不穏症状

不穏の原因は多岐に渡ります。薬の副作用や離脱症状、せん妄などが考えられます。
また、認知症の場合、身体的苦痛や不安、苛立ちなどの精神的な原因も影響します。
特に精神的な原因としては、環境の変化に順応できずに不安を感じる方も多いです。認知症によって上手くコミュニケーションが取れないと、不安の増強に繋がります。気持ちを周囲に理解してもらえない苛立ちから、攻撃的になり落ち着きがなくなることもあります。

暴力や暴言

認知症は「認知機能」つまり「思考力・理性」が低下するため、感情のコントロールが難しくなります。
また、認知症にはさまざまなタイプがあり、タイプによって暴言や暴力のあらわれ方や原因が異なります。
脳の機能低下で感情が抑えられない認知症患者は、脳の障害により感情のコントロールが難しくなります。怒りや不安を表現できないため、暴言や暴力といった行動につながることがあります。不安やいらだちが大きくなると、怒りが爆発してしまうこともあります。このような場合、原因を聞き、取り除くことが大切です。


不安を感じ、混乱しているとき

不安を感じ、混乱しているとき
不安を感じ混乱しているときに暴言や暴力が現れることがあります。 例えば、認知症により理解力が低下した状態で自分の置かれている状況がつかめず不安に感じることがあります。外出をするときに行き先を忘れて不安を感じ、混乱して暴言や暴力に発展することなどが挙げられます
  

感情のコントロールが難しいとき

認知症によって前頭葉の神経細胞のはたらきが低下し、脳の感情を抑制する部分がうまく働かないことで感情のコントロールが難しくなり、感情が爆発して暴言や暴力といった行動をとってしまうことがあります。
同時に理解力も衰えるので不安や苛立ちを感じやすくなり、感情を上手く表現できず暴言や暴力につながってしまうこともあります。また、興奮しているときに大きな声で注意されると恐怖心を感じてさらにパニックになってしまう恐れもあるので、暴力的な言動は、本人の性格や意思とは関係なく起こるものだと知っておきましょう。

自尊心が傷つけられたとき

本人のことを思って行う何気ない行動で自尊心が傷つけられ、暴言や暴力が現れることがあります。
例えば、ひとりで大丈夫ですか?と過度に心配することが本人の気に障り、自尊心を傷つけて暴力的な態度につながる場合などがあります。
また、本人を制止するために大きな声を出す、否定することで嫌な気持ちにさせ、感情を暴言や暴力によって表現してしまう場合もあります。

物取られ妄想

物盗られ妄想が出る要因として、認知症の方の不安な気持ちがあります。認知症でなくとも、老年期は「喪失」の時期と言われており、さまざまな不安がつきまといます。

「仕事を退職して社会的な役割がなくなる」「家族や親しかった友人を亡くす」「病気により健康を失う」などが重なり、生きる目標を見失ってしまうこともあります。
そんななかで自分が生活している「足跡」でもある記憶を失ってしまうのは、さらに大きな不安を生じます。

認知症の方は自分が認知症だと理解していないケースもありますが、多くの場合、「以前はできたことができなくなる」「周囲の言っていることが理解できない」といったことを不安に感じています。日常的に家族に「どうしてできないの」「さっき言ったのに!」と責められていると、家庭内で孤独感や疎外感を感じることにより物盗られ妄想が見られやすくなってしまいます。

帰宅願望

認知症の不穏症状には、「家に帰りたい」と訴える帰宅願望があります。
また、「家に帰りたい」と訴えるだけではなく、実際に外へ出て行ってしまうこともあります。

自宅にいても「家に帰りたい」と言い出したり、以前住んでいた家に帰ろうとするなどの行動がみられます。

以前住んでいた家に帰ろうと外出することで迷子になったり、自宅へ戻ることができなくなり、結果的に徘徊へと繋がります。

介護拒否

認知症の患者さんは、様々な理由から介護を嫌がることがあります。 介護者や家族は、対応に困ったり途方に暮れることもありますが、本人には嫌がる理由があるのです。その理由を聞き、本人が心地よく介護を受けられることが重要です。

介護する側には介護の「拒否」であっても、患者さんにとっては「嫌だという意思表示」であることを理解しましょう。

幻覚

幻覚とは、実在しない知覚の情報を、実在するかのように体験する症状です。 実際にないものが「見える」幻視のほか、幻聴・幻味・幻臭・体感幻覚などがあり、レビー小体型認知症で多くみられるのが幻視だと言われています。 また、アルツハイマー型では幻聴が現れることがあります。

認知症の不穏状態になる原因

認知症による不穏症状は、患者が次第に認知機能を失い、自分の置かれている状況を理解できなくなることによって引き起こされます。不穏は急に攻撃的になったり、興奮状態が抑えられなくなったりする状態を指します

薬の副作用や離脱症状

薬やアルコールの副作用や離脱症状により、不穏状態が引き起こされるケースもあります。
不穏はステロイド系などの薬の副作用やアルコール中毒で起こりやすくなります。

身体的苦痛

不穏状態は病気ではなくても、大きなストレスがかかった場合にも発生する可能性があります。
例えば、急激な環境の変化や強い痛み・息苦しさがストレスとなり、不穏になることも。強い不安や恐怖などのストレスがかかった場合も、不穏状態を招きやすいと言えるでしょう。

精神的な原因

環境の変化に順応できずに不安を感じることがあります。認知機能の低下によりコミュニケーションが難しくなり、不安が増強されることもあります

夕暮れ症候群

夕方になるとソワソワして落ち着かなくなったり、少しのことに声を荒げたり、「そろそろ家に帰らせていただきます」と徘徊を始めたりするのは、認知症に関わる人の間ではよく知られていることです。
これを「夕暮れ症候群」と呼んだりします。
一般的な生活の中でも、夕方は晩ご飯の用意を始めたり、帰宅したり、何かとあわただしくなる時間帯ですから、ご本人も「いつまでもここにいていいのかしら?」「何かしなくてはならないことがあるのではないかしら?」と、落ち着かない気持ちになってしまうのだと思われます。
また、介護者もこの時間帯は何かと忙しくて、なかなか認知症の方のお世話ばかりしていられない事情が、この症状に拍車をかけます。
「早く話を切り上げて別の仕事をしたい」と思いながら相手をしていると、その介護者のソワソワがご本人にも移ってしまうのです。

不穏症状に対処するためには

不穏症状は、周囲への警戒心が強く、行動が増加し、落ち着きがなく興奮している状態を指します。入院による環境の変化から不穏に陥ることもあります。不穏患者への適切な対応方法を考えましょう。

じっくり話を聞く

理解できない内容であっても、じっくり話を聞く姿勢が大切です。本人が話せば理解してもらえると感じれば気持ちが安らぎます。
認知症の不穏状態に対する対策の一つとして、じっくり話を聞くことが重要です。
認知症の方は、自分の気持ちや不安をうまく表現できないことがあります。そのため、じっくりと話を聞いて、本人の気持ちを理解しましょう。
不穏症状が現れた際に、怒りや不安の原因を探り、共感の言葉をかけることで落ち着かせることができます。
不穏症状が現れたときには、怒らずに穏やかなトーンで接することが大切です。声のトーンや表情にも注意しましょう。
「大丈夫、話してみてください」「気持ちを聞かせてください」といった言葉で、本人の気持ちを引き出しましょう。

安心できる環境作り

患者がいる場所や状況を理解しやすいような環境を用意します。時計やカレンダーを目に入る位置に置いたり、部屋の目印をつけたりします。
昼間はカーテンを開けておくことで、日中の活動を促進します。

身体の変化を確認する

認知症患者は、身体的な苦痛を適切に表現できないことがあります。
食事の摂取量や睡眠状態などを観察し、身体的な異変があるかどうかを確認しましょう。
身体の不調が不穏症状を引き起こしている場合、適切な対処を行うことが重要です。

睡眠サイクルをと整える

認知症による不穏症状は、周囲への警戒心が強く、行動が増加し、落ち着きがなく興奮している状態を指します。不穏症状は、認知機能の低下や理解力の減少によって引き起こされることが多く、身体的な変化も影響を与えることがあります。

睡眠サイクルを整えるために以下の対策を検討してみましょう。


①日光を浴びる



体内時計を整えるために、午前中に日光を浴びることが効果的です。朝の散歩などを習慣化しましょう。

②就寝環境を整える



夜は明かりを落とし、リラックスできる環境を作りましょう。足浴を行うことも有効です。
規則正しい生活サイクルをつくる:
日中の活動量を増やすことで、夜間の睡眠を改善できます。デイサービスや趣味を取り入れた活動を行いましょう。

③寝る前にはトイレに連れて行く



高齢になると夜間のトイレ回数が増えることがあります。トイレが原因で目覚めることを防ぐために、就寝前にトイレに行く習慣を作りましょう。

④不安感を解消する



認知症患者は環境要因に敏感で不安を抱えやすいです。不安の原因を理解し、説明をすることが大切です。

⑤服薬中の薬について確認する



薬の作用によって睡眠サイクルに影響を及ぼす場合があります。医師の指示に従って服用しましょう。

⑥医師に相談する



家庭内の対応で問題が解決しない場合は主治医に相談してみましょう。入院を検討することもあります。

まとめ

認知症の進行とともに問題となりやすい症状の一つが不穏です。不穏は、急に攻撃的になったり、興奮状態が抑えられなくなったりする状態を指します。認知症の方は次第に認知機能が低下し、自分の置かれている状況を理解できなくなります。理解できずに不安が積み重なると、周辺症状として様々な症状が現れます。その中の一つが不穏です。

不穏の原因は多岐に渡ります。薬の副作用や離脱症状、せん妄などが考えられます。また、認知症の場合、身体的苦痛や不安、苛立ちなどの精神的な原因も影響します。特に精神的な原因としては、環境の変化に順応できずに不安を感じる方も多いです。認知症によって上手くコミュニケーションが取れないと、不安の増強に繋がります。気持ちを周囲に理解してもらえない苛立ちから、攻撃的になり落ち着きがなくなることもあります。

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