在宅介護の本当の要を知ってください
在宅介護と言えば地域包括支援センターと思われる方も多いですし実際そのとおりなのですが、その大元があるのを知ってください。在宅介護をずっと希望される方に強い味方です。
目次
- ○ 在宅介護の要ってなんでしょうか
- ○ 地域包括ケアシステムとは
- ○ 地域ケアシステムの歴史
- ○ なぜ地域包括ケアシステムが必要なのでしょうか
- ○ 地域包括ケアシステムが重要な理由
- ○ 地域包括ケアシステムの5つの構成要素
- ・住まい
- ・医療
- ・介護
- ・介護予防
- ・生活支援
- ○ 4つの「助」が大切:自助・互助・共助・公助
- ・自助
- ・互助
- ・共助
- ・公助
- ○ まとめ
在宅介護の要ってなんでしょうか
要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで続けることができるように地域内で助け合う体制のことです。それぞれの地域の実情に合った医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される体制を目指しています。
地域包括支援センターをそう思っていらっしゃる方が多いようです介護保険制度の枠内でだけ完結するものではなく、
介護保険制度と医療保険制度の両分野から、高齢者を地域で支えていくものとなります。
戦後のベビーブーム時代に生まれた、いわゆる団塊の世代と呼ばれる人たちが、75歳以上の後期高齢者となる2025年を目途に、介護保険の保険者である市町村や都道府県などが中心となり、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて構築していくことが目標です。
地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定されています。
地域包括ケアシステムとは
上記述べたように介護保険制度と医療保険制度の両分野から、高齢者を地域で支えていくものとなります。
これを
「地域包括ケアシステム」
と言いますこうしたシステムを実現するためには、介護職や医療関係者をはじめとした多職種が連携する必要があります。その仲介役として、地域包括支援センターやケアマネージャーが重要な役割を果たします。
地域ケアシステムの歴史
2000年に介護保険制度が始まり、高齢者を支えるには医療と介護や福祉の連携だけではなく、生活支援サービスも必要であることが明らかになってきました。
そんな中、医療サービスと介護サービス、さらに生活支援などを連携させた体制として改めて「地域包括ケアシステム」の概念が注目を集めるようになります。
そして2014年には「医療介護総合確保推進法」が施行され、地域包括ケアシステムの構築が全国的に進められるようになったのです。
団塊世代が75歳以上となる2025年以降は、国民の医療や介護の需要が増えることが想定されています。こういった背景から、国は、医療と介護を病院や施設等で行うものから在宅で行うもの、つまり住み慣れた地域の中で最後まで自分らしい生活ができるようにと、地域の包括的な支援・サービス提供体制「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。
なぜ地域包括ケアシステムが必要なのでしょうか
地域包括ケアシステムの構築を求められるようになった背景にあるのは、急速に進む少子高齢化です。
厚生労働省の「介護保険事業状況報告の概要」のよると、2021年1年時点では要介護・要支援認定者数が全国で679.2万人を突破しています。
高齢者人口の増加とともに要介護認定を受ける人も増えつつある一方、要介護者を支える介護職が大きく不足し、既存の介護保険サービスだけでは高齢者を支え切れない状況になりつつあります。
そのため、公的なサービスだけでなく「地域」の力を活用しながら高齢者を支えていく「地域包括ケアシステム」の構築が必要となったのです。
また、核家族化が進み、家族の支えを受けられない単身高齢者が増えていることも、地域によるケアが必要になった要因のひとつとして挙げられています。
2020年9月、65歳以上の高齢者の人口は3617万人と過去最多となり、高齢化率は28.7%となりました1)。いわゆる団塊世代が前期高齢者となる2025年には高齢化率は30%を超え、75歳以上の後期高齢者だけでも13%を超えると予測されています2)。
さらに、内閣府による平成29年版高齢社会白書における「65歳以上の高齢者の認知症患者数と有病率の将来の推計」によると、2012年は認知症患者数462万人、有病率15%(7人に1人)だったのに対し、2025年には600万人を超え、有病率も20%(5人に1人)になると推定されています3)。
一方、令和元年版高齢社会白書によると、治る見込みがない病気にかかった場合、60歳以上の人の約半数(51.0%)が「自宅」で最期を迎えたいと希望していることがわかります病状にもよりますが、自宅で最期を迎えたいという理由には、「住み慣れた場所で最期を迎えたいから」「最期まで自分らしく好きなように過ごしたいから」「家族との時間を多くしたいから」「家族に看取られたいから」などが多くあるようです。
しかし、高齢者人口は増えても、生産年齢人口は減少傾向が止まりません。このような背景もあり、療養の場は医療から在宅へと、「在宅医療」の推進が強く求められることになりました。
地域包括ケアシステムが重要な理由
地域包括支援センターがシステムの中心
2005年の介護保険法改正に伴い、地域包括ケアシステムを支える中核機関として設置されたのが、地域包括支援センターです。
地域包括支援センターは、在宅介護支援センターの運営法人や社会福祉法人、公益法人、医療法人、NPOなどが市町村から委託される形で運営しており、保健師、社会福祉士、主任ケアマネージャーなどが配置されています。
業務内容は、介護予防支援事業と包括的支援事業に分かれています。具体的な内容としては以下のようになっています。
介護予防支援事業
指定介護予防支援事業所として要支援者のケアマネジメント
介護は、在宅系サービスと施設・居住系サービスに分類されます。
在宅系サービスでは訪問介護、訪問看護、通所介護、小規模多機能型居宅介護、短期入所生活介護、24時間対応の訪問サービス、複合型サービス(小規模多機能型居宅介護+訪問看護)等などを表します。
施設・居住系サービスは介護老人福祉施設、介護老人保健施設、認知症共同生活介護、特定施設入所者生活介護等です。
介護が必要となった時に、自宅からの通所あるいは施設へ入所して介護を受けられるような体制を整えます
包括的支援事業
介護予防ケアマネジメント…要介護になってしまうことを防ぐための支援
包括的・継続的ケアマネジメント支援…高齢者が自分が暮らす地域に住み続けられるような体制づくりをします。
総合相談・支援…地域に住む高齢者の相談を聴き、地域包括支援センターに引き継ぐ業務です。
権利擁護…判断力が十分でない人への相談支援や金銭管理などを行います
地域包括ケアシステムの5つの構成要素
地域包括ケアシステムはなぜ生まれたのでしょうか。
地域包括ケアシステムの目的は、高齢者の尊厳と自立支援です。
さらに少子高齢化が進み、医療や介護の需要が急増することで、病院、施設、介護士の不足が懸念されます。
介護施設を利用しなくても、自宅で安心、安全に過ごせるように医療や介護を届けるようにするという目的もあります。
地域包括ケアシステムの5つの構成要素あります
住まい
地域包括ケアシステムにとっての「住まい」とは、自宅と各種介護施設を意味しています。
高齢者が終の棲家となる場所です
ここでの住まいというのは、単に住宅を提供するというだけでなく、賃貸住宅に入居する際の保証人手続きといった支援も含まれています。
医療
地域包括ケアシステムにとっての「医療」とは、かかりつけ医や地域に根付いた連携病院、リハビリ病院などが含まれています。
それぞれの役割分担は違いますが、いかにスムーズに連携をとって高齢者の健康を守るかの要となるのが地域包括ケアシステムです。
介護
地域包括ケアシステムにとっての「介護」とは、
在宅での介護サービスと施設での介護サービスの2つになります。
在宅での主な介護サービスは、必要に応じた訪問介護や看護です。
一方、施設での介護サービスは、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、小規模多機能型居宅介護などがあります。
介護予防
地域包括ケアシステムにとっての「介護予防」は、要支援の方たちでも快適に自分の家で生活が送れるようにするための体制です。
具体的には、地域の交流や社会参加へのきっかけを提供し、家事援助や外出援助などの自立支援も行います。
生活支援
高齢者の見守りを中心として、お弁当や買い物支援、安否確認などのサービスを提供します。
とくに専門性を必要としないサービスですから、地域の方々にも積極的に参加を呼びかけています。
地域の特徴が最も出るサービスといっていいでしょう。
4つの「助」が大切:自助・互助・共助・公助
地域包括ケアシステムでは、高齢者のニーズに応える支援を行うために欠かせない理念があります。
それが4つの「助」です。
「助」とは文字のまま、「助ける」という意味になります
4つの助とは説明していきます
自助
自分で自分を助けることです。
高齢者が介護されないように予防に取り組み、自分自身のケアを行うことです。
住み慣れた地域に住み続けるためには、自らの健康に注意を払いながら、介護予防活動に積極的に取り組むことが重要になります。
互助
家族、隣人、友人との支え合いです。
共に助け合って問題解決するもので、ボランティア活動や地域の活動などが代表的な互助になります。
共助
共助は、制度化された相互扶助のことです。
たとえば、介護保険、医療保険サービス、社会保険などで、相互に負担し合いながら利用することです。
「共助」が制度に基づく助け合いなのに対して、「互助」は自発的な助け合いです。
公助
生活が困難な人を救済するための行政サービスです。
自助、互助、共助では救済できない人に対して生活保障を行います。
税による負担で成立し、生活保護のほか、人権擁護や虐待対策などが公助に該当します。
まとめ
地域包括ケアシステムは、地域に住む高齢者が安心して老後を過ごせるための支援を行うシステムです。
地域包括支援センターは、地域包括システムの表の顔として、実際に活動する拠点になります。
地域包括ケアシステムのメリットは、包括的に医療・介護サービスが受けられ家族に対する負担の軽減に貢献し、高齢者の積極的な社会交流を促進することです。
地域包括ケアシステムは、まだまだ地域の方々への認知度が低く、そのため十分に活用ができていないのが実情です。
地域包括ケアシステムへの理解を深め、高齢者が住みやすい地域を目指しましょう。